「しゃりおー!」◆前編

ゲスト:『鮨さいとう』店主 斉藤孝司さん

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ミシュランガイド3つ星、いま東京で一番予約が取れないと言われている寿司の名店『鮨さいとう』さんにお邪魔させていただきます!
実は、こちら、取材拒否のお店なんです。ということで今回は特別に取材させていただきました。
こちらのお店では通常のコースだとおつまみからのお寿司というのが基本の流れなのですが、ボクはすべて最初から”寿司”でお願いしているんです。
それをボクは”全寿司挑戦コース”と呼んでいます。

凛とした店内。
清潔感は美味しいお寿司に繋がっています。
生魚を扱うお店にとって、これが一番大切なのです!

さすが!『鮨さいとう』さん。空気も凛としています。
木の香り、ほのかな酢の香り……店内の空気から三ツ星!!
ダメなお店はたいてい魚の生臭さが漂っているものなのです。

カウンターに座ると、店主・斉藤さんが鮪のサク切りを目の前でやってくれています。
酢飯の温度を決め、その上に乗せるネタの温度までも決め、さらには完成したお寿司の香りや温度までをコントロールしてネタを切るのが斉藤流。

見て! 美しい!!
切った魚の並べ方まで美しい……。”仕事”にはすべてご本人の性格が表れます。
ここまで綺麗に、そしてネタを愛する方が握る寿司は美しくて旨いはず。
すみません、大将の言葉ではなく、ボクばかりが語っていますね。
ちなみにこの日は貸し切りだったこともあり、わがままを言って写真を撮らせていただいています。

『しゃりおー!』

これ、大将が職人たちにいい状態で酢飯を持ってくるようにという合図です。
綺麗に並べられたネタ、呼吸を整え、いざお寿司を握るときにこの言葉が出ます。
『しゃりおー!』
その瞬間、斉藤さんの寿司劇場の幕開けです!

一貫目、白身! パクっ!
おぉぉぉ! 口の中で江戸しゃりがふわっーっと広がり、ネタと同時に消える!
つかみはOK!

おお! 小ハダ!
斉藤さんいわく「小ハダの仕事はその寿司屋さんの技が出ます」いや「力量がわかってしまうんです」
とのこと。ちなみにこちらの小ハダは程よく水分が乗り、口の中でジュワっと旨味が出る系です。

さぁ、次はいよいよ鮪の登場か?
江戸前のお寿司屋さんにとって、鮪は命とも言えます。
こちらではいつも先5日間分くらい仕入れた多くの鮪から”食べごろ”を見極めて一番美味しいものを厳選してくれます。
少し寝かせることで美味しくなるものもあるからです。
イコールなんと贅沢な! なんというこだわり! 次回に鮪登場。

――後編に続く。

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