「しゃりおー!」◆後編

ゲスト:『鮨さいとう』店主 斉藤孝司さん

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赤身!

中トロ!

トロ!
見て見て! 鮪の寿司の美しいこと!
  斉藤さんの寿司はとにかく美しい。そして、美しいは旨い!
これを食べられたことがどんなことよりも幸せに感じます。
『しゃりおー!』
おっ! またまた大将から出ました!

実は『しゃりおー!』という言葉の中には、たくさんの意味が込められています。
たとえば、酢飯を担当している弟子たちがいい感じで進行していると、いい仕事しているぞ!という意味を込めた明るいトーンのそれが入る。
また、酢飯のクオリティが下がって来たぞというときには、少し声を強めたそれに変わる。
斉藤さんは酢飯を持った瞬間に、固さ、湿度、温度を即座に感知しているんです。
その正確さは手に魔法の感知センサーがついているのではないかと思う程。
さて、イカは一番酢飯の味がわかるネタ。
なので、先程の『しゃりおー!』は『新しい酢飯を持ってこい!』という意味だったんです。
こうしてネタや状態によって酢飯を入れ替えるという手間も最高の寿司を提供するための”仕事”なんですね。

出た海老!
これは若手のお弟子さんたちが命をかけて茹で上げ、完璧なタイミングで皮を剥き、ネタの温度を大将が感じながら握られる逸品。
食べたら口の中はプルン、ジュワー、ほのかに甘味が!
お寿司というのは1つ1つの小さな仕事が集合して、出来上がる奇跡なんです。

出た鰹!
大将は生臭い魚を好まないので、独特な魚の匂いが出る光り物はサッと煮切り醤油にくぐらせたりします。
魚が苦手な方はこの匂いが原因なことが多い、なので、ここに来るとだれでも魚好きになるんです、だって旨いんだもん!

出た鯵!
これ、このお店の名物。
目をつむって口に入れたら、秘伝の薬味によって鯵の旨味が口の中で爆発します。

ここ近年は海水の温度が上がっているため、夏が旬と言われているネタが11月くらいまで食べられます。
お寿司屋さんとお話をすると、サバイバルにも話題がつながっているということに気づきます。
あ、この穴子。脂の乗ったところはツメ(タレ)で、よく運動しているところは塩で。
ふたつの味。なんと贅沢!

終盤は裏メニューで、”鮪の常温火入れネギトロ”を作ってくれています。
鮪と葱を細かく刻み、お皿の上で混ぜるとまるでフライパンでお肉を焼いていくように鮪が常温に溶けていき、葱とあいまって最高の鮪ソースができあがるのです!
それを海苔に巻くんです。旨いに決まっているでしょう!

〆の玉子はプリンのような美しい二層になっています。これは誰にも真似ができない逸品。
これはまさにお寿司界のスイーツ!?
あぁ今回は大将が真剣にお寿司に取り組んでいたため、ボクばかりが語ってしまいました。
斉藤さん、すみません。そしておいしかった! また、うかがいます。

ショップデータ

鮨さいとう

住所:
東京都港区六本木1-4-5アークヒルズサウスタワー1F
電話番号:
03-3589-4412

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