「包丁の切れ味は肉屋のこだわりなんですよ」◆前編

ゲスト:『焼肉ステーキあつし』オーナー・加藤敦さん

monthly_col_01_01

ここは東京・西麻布。住宅街のひとつ通り奥に入った路地裏。 ここに8月末にオープンしたばかりの焼肉店があると聞いてやってきました!

ボクがいつも焼肉店に入って真っ先にチェックしちゃうのが、お肉を焼く設備。
それでお肉の質や、そのお店のお肉に対する考え方がわかってしまうのです!ハハハ。

ガチャ! ほほぅ。
焦げ付きにくくさせるために、中にもう一段かませてるわけねぇ。
なるほどぉ。

うわぁ! 鉄が厚い!
ずっしり重みがあると思ったら、こんな厚みが!!
ぬぬぬぬ!? しかもテフロン加工か! こりゃかなり進んでいるお店だぞ。

「ジモンさん、なにガチャガチャやってるんですか!」
と、登場したのが、こちらのお店のオーナー・加藤さん。
銀座のステーキ店『加藤牛肉店』のオーナーでもある。

「せっかく来ていただいたので、今日はジモンさんに裏側も見せちゃいますよ!」
「いいんですか? 知ってると思いますが、ボク、ウザいですよ」
「よくわかってます(笑)」
というわけで、特別に厨房を案内してもらっちゃいました。

「うちではホルモン以外は山形牛の生産農家指定の雌牛しか使わないんです」
「だからテフロンなんだ!」
雌牛は柔らかいので、焼き網にくっつきやすい。だから設備にもこだわっているというわけだ!
加藤さんは横浜で精肉業も営まれているんです。
だから見て見て! 加藤さんが研いでいるこの包丁。美しい研ぎでしょ!
「包丁の切れ味は肉屋のこだわりなんですよ」

タンは薄ーく、皮を剥ぐように包丁を入れていく加藤さん。丁寧なのに、無駄がない作業。

「素早く切らないと肉がダメになっちゃいますからね。これ、山形牛の黒毛のタンなんですよ。いつもあるとは限らないですけど」

実はこのタン、表面だけ冷たくしてあるんです! 黒毛の生タンは切りにくい。これぞお肉に精通している証!
しかも、脂の多い下の部分は全部落としちゃう。うおぉぉなんと贅沢なトリミングなんだぁぁ。

さて、次はハラミのトリミング。
「加藤さん、まさかこのハラミも山形牛なの?」
「当たり前じゃないですか。早くやらないと、悪くなっちゃいますから」
「どうりでこの厨房、冷蔵庫のように寒いんだ……」
この会話のすごさがわかる人は、かなりのお肉好きですよ!

いやぁプロの仕事、見させていただきました!
  「加藤さんのお肉の厳選も、トリミングもすごいけど、でもやっぱり、問題は味ですからハハハ(笑)」
「わかりました。じゃぁ席でお待ちください」

――後編に続く。

« 前の記事:『和田金』さん... を読む

次の記事:2014年の初松茸... を読む »