THE蘊蓄 Vol12『鮎』鮎ほど季節ごとに味や形が変わっていく食べ物はない!

THE蘊蓄 Vol12『鮎』鮎ほど季節ごとに味や形が変わっていく食べ物はない!

この写真は『京味』さんの奇跡の鮎。何が奇跡なのかと言うと、2つは味が違います。 手前の鮎は少し天日干ししたもの、そして奥のものは鮮度良く焼いたもの。 両方とももちろん天然ものなのですが、その中でも本当の天然を仕入れているところが『京味』さんの凄さ。 鮎の天日干しは味が濃くなっていて、ワタまで超美味しい。 ここまでの仕事を他でやっているお店を僕はあまり聞いたことがありません。 なぜこんなことをするかって!? それはですね、鮎は春先の稚鮎から始まり、最後はタマゴを持った落ち鮎まで変化する。 でももし同じお店(京味さん)に前回の訪問から1週間くらいのスパンでうかがったときは、鮎の大きさが変わらないでしょ? いや、変化がないとお客さんに感動がない。 そんな時のおもてなしのために生まれたのがこの天日干しなんです。 料理人として鮎の側で変化してくれるのを捉えていくことも大切なのですが、変化しないものを変化させる、その仕事と気持ちが素晴らしい。 さらにその”気持ち”は鮎の添え物に現れます。 一般的にどういうわけか鮎の隣には蓮根の酢漬けや着色したもの、新ショウガを見ることが多い。 でもそれは宴会場などの大人数の席に出すものであって、手間が少なく見栄えがいいものというだけで鮎を美味しく食べるためのものではありません。 この日の『京味』さんではセロリの酢漬けが添えられていました。 旬でしかも相性が抜群にいいものを出してくれる、今度鮎が出て来たときは添えているものをチェックしてみてください。

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