THE蘊蓄 Vol24『鮎の天ぷら』脂は炭の代わりだっ!

THE蘊蓄 Vol24『鮎の天ぷら』脂は炭の代わりだっ! 鮎の塩焼きを「骨まで食べられます」とお店で出してもらうことありますよね。 でも実際に食べてみると、中骨が口の中にいつまでも残って中々噛み切れないことが多い。 これはちゃんと焼き切っていないからなんです。 炭焼きだと遠赤の力で内側からどんどん火が入っていき時間をかけて焼くことで骨まで焼き切れる。 という原理から考えると骨が残っているものは焼きが甘いということ。 天ぷら屋さんの油というのは炭と同じ、遠赤が生まれるんだそうです。 なので稚鮎のような小さなものは直ぐに熱が入るのですが、鮎は技が必要になる。 天ぷら屋さんの名店「くすのき」さんでは衣の配合をネタによって変えているのですが、鮎の場合は強め固めの衣で鮎をコーティングします。 そしてネタを油に落としてから、温度を上げたり、下げたりを繰り返す。 鮑の蒸し煮と同じように、調理の過程で食材が柔らかくなったり硬くなったりを繰り返すの同じ原理なのです。 鮎の中心にある骨が沸騰するまで温度調整を繰り返す、それには衣が強くないと持たないからなんです。 頃合いになると、水分も飛び、油の音が変わる。 このタイミングを見極めて、引き上げる。 出来上がった天ぷらは「まず尻尾から食べてください」と言われます。 その理由は頭や太い部分に残った遠赤で最後まで火を入れるため。 ふた口目をいただく頃は真ん中もちょうどいい感じで揚がっていて最後にいただく頭もサクサク。 天ぷらが炭焼きであるということを食べて実感させていただきました。

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