ボクが2ヶ月に1回必ず通っているお店。はっきり言います、岸田シェフは日本の新世代フレンチの重鎮になることは間違いないっ!! このお店、メニューはおまかせコースが1種類のみ。シェフ渾身の料理が13種類前後出てくるのですが、テーブルに置かれたメニューを広げると、真っ白。何も書かれていないんです。つまり同じ料理は出しませんというシェフの自信とおもてなしの証。素材・火入れ・味付けの3プロセスを重んじて、常に進化し続けているシェフの料理。このうんちくが多いボクがこのお店にいる間はあまりしゃべらなくなる。黙ってただ料理を味わっていたい、そんな気分にさせてくれる、いやそうせざるをえないんです。ボクが肉に呪われた男であれば、岸田シェフはフレンチに呪われた男。お肉料理の火入れに6時間。低温でじっくりと焼き上げて行くなんて手間が当たり前にできてしまうストイックさがある。さらにフレンチの魚料理においてはこのお店に勝てる料理はないと思っています。美しく、香ばしく、アート作品のように焼き上げられた鯛は口の中で衣がカリっ、身がフワ、甘味がふんわりとやってくる。いつまでも食べていたいと思ってしまいます。コースの定番メニューの山羊乳のバヴァロアは唯一無二の逸品。デザートのメレンゲのアイスクリームはこの世にこれほど美味しいアイスがあったのかと毎回感動させられる。また、料理がサーブされるタイミングも各テーブルのお客様のペースに合わせてくれるホスピタリティも嬉しい。