おまかせの終盤に出て来たのは鮑!? と思ったら美しく包丁で仕事入れた椎茸の握りでした。また干瓢巻も噛んだ瞬間にふわっと甘辛さを和らげる風味を感じたので、うかがってみると実はオリーブオイルを合わせていたり……。個性溢れる寿司を体験させてくれたお店です。大将の貝塚さんは18歳で寿司の世界へ、修業中には渡米されていたり、ホテルの寿司店での勤務経験をへて、1993年に神楽坂でお店を構えられた方。神楽坂時代から暖簾のない紹介制の名店として注目され、銀座に進出した現在も紹介制で、多くの食通に愛されて予約が取れない状態が続いています。大将は謙遜されて「独学で研究した」とさらっとおっしゃっていましたが、基本の技術や研究がないと”遊び”はできません。最初に言った椎茸も全ての基本があってこその上質な遊びなんです。ちなみに酢飯と椎茸、これがものすごいマッチしてます。国産にこだわったネタはブランドではなく”その時にいいものを使う”というポリシーにも惹かれた。清潔感のある隠れ家的なお店はゆったりとした時間が流れていて、落ち着きがある。予約さえ取れればふらりと寄りたい店だ。