浜松町の街の片隅に悠々たる一軒家の店を構えている、老舗店。漬ける、締める、炙るといった江戸前の本当の仕事をおまかせコースでいただけるという、今は数少ない希少なお店。なんといってもしゃりが素晴らしい。米酢を使って塩分と酢が控えめのしゃりはネタを引き立たせる最高の脇役者。ついついいつもより多めに噛んでネタと米のハーモニーを楽しみたくなるような色気のある寿司でもあります。ネタは四季折々で旬のものを取り寄せているそうで、コースにしっかりと季節を感じられるのも江戸前寿司の魅力。現在8代目となる大将は御年70歳を越えているにもかかわらず、ピシッと寿司を決める姿がなんともカッコいい。現在ランチタイムはお弟子さんが握られているのでぜひともディナーで伺ってください。江戸前寿司の哲学的なお話をいろいろ聞かせてくれますよ。おっと、忘れてはいけない! こちらの名物と言うべき煮蛤の相汁(ともつゆ)は蛤の漬け煮込みをお出汁といっしょにいただくのですが、箸でしゃりを崩しながらさっと口にかっこむと、なんとも言えない旨味が広がります。デート使いというよりは、食通同士で、いや男同士で語り合いながら頂きたい、そんな潔さを感じる仕事だ。